おいしさへのこだわり
平成22年に発生した口蹄疫の終息後、一からのスタートとなり、新たに導入した牛の選抜を繰り返し、採卵技術を積極的に活用し、高品質な牛群の改良に努めてきました。
「牛を汚さない綺麗な環境で育てる」という信念のもと、牛の健康にも配慮し、導入牛についても子牛の管理に信頼のおける農家から優先して購入しています。なにより、消費者の皆様の食卓へ安全を届けたいという思いで育てています。
児湯地域を襲った口蹄疫と
牛にかける想い
昭和58年から畜産業を始め、試行錯誤しながらも経営が軌道に乗り始めていた平成22年4月、児湯地域で発生した口蹄疫によって、その当時飼っていた298頭すべての牛を失いました。
風評被害、将来への不安を抱え、今まで家族同然に育ててきた愛牛たちを失った悲しみを乗り越えるにはかなりの時間が必要でした。口蹄疫は畜産業のみならず県内経済、県民生活にも大きな影響を及ぼしました。
しかし迅速かつ徹底した対応により口蹄疫が終息した後、宮崎牛を、そして地域の畜産業を衰退させないためにも、それまで27年培ってきた牛飼いの知識、技術、経験を活かし、口蹄疫からの再生・復興に向けてまた一から牛飼いを始めることを決意しました。
地域一丸となり、国や県、経済連、JAからの支援を受け、宮崎県内でも口蹄疫の被害が出なかった近隣の子牛市場や、鹿児島、長崎の子牛市場からも優秀な血統、能力を持つ牛を導入していき、平成22年9月に地域の子牛市場である児湯地域家畜市場も再開。すずき牧場は令和4年現在で繁殖牛130頭、育成牛36頭、肥育牛220頭を飼育するまでになりました。
口蹄疫からの再生・復興に御助力いただいた御恩は決して忘れません。そして今のすずき牧場があるのは、弊社に関わり、支えてくださっている大勢の方々あってこそだと強く実感しています。経済動物としての生涯を全うできなかった愛牛たちを失い、辛く苦しい口蹄疫を乗り越えた私たちだからこそ、「消費者の皆様の食卓へ安心、安全、おいしい牛肉を届けたい」という思いを誰よりも強く持ち、そして、愛情を込めて一頭一頭大切に育てた牛が牛肉となって、消費者の皆様の笑顔と幸せの源になれるよう、試行錯誤しながら日々精進しています。
味の特徴
ほどよく締まった肉質と
くどすぎない脂
衛生面に特にこだわったストレスフリーな環境で育てられた「すず木牛」は、細かく入った霜降りと、ほどよく締まった滑らかな赤身が特徴で、年間を通じて出荷牛の5等級率は7割以上、4等級以上比率になると9割を超えますが、脂がくどくないのが特徴です。
2022年2月のJA宮崎経済連系統和牛枝肉共励会では、最高賞の金賞を受賞し、セリでは1キロ当たり8,030円の値が付きました。
育て方のこだわり
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飼育環境へのこだわり
「牛を汚さない綺麗な環境で育てる」という信念を変えずに、これまで畜産業に向き合ってきました。肉牛は“食品”であるとともに、尊い“命”であることを常に念頭に置き、食肉として出荷されるまでの24〜30か月という短い生涯の中で、最高の状態で牛を育ててあげたいという強い思いがあります。
特に牛は嗅覚が強く、排泄物から発生する有毒なアンモニアガスは牛にとってストレスの一因であることからも、牛舎を常に綺麗に保つよう意識しています。これが「すず木牛」がストレスフリーで健康的な和牛に育つ理由のひとつであると考えています。 -
母牛へのこだわり
体型、肉質、肉量などが特に良い個体の選抜を繰り返し、また牛肉の共励会などで実績のある母体の子牛が市場に出た際には積極的に導入しています。その中でも飛び抜けた能力を持つ母牛からは採卵を行い、採取した受精卵を用い老齢となり産肉能力が衰えた母牛を借り腹とすることで生産寿命を延ばし、なおかつ能力の高い子牛生産を行うなど、高品質な牛群の改良に努めています。
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子牛へのこだわり
肉牛は子牛の時期の管理が、その後の肉質を左右する大事なポイントとなってきます。そのため、自家産の子牛の健康や餌の管理に気を配るのはもちろんの事、子牛市場で購入する牛に関しても、餌のバランスや飼養管理がしっかりした生産農家の牛を導入することを心がけています。
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飼料へのこだわり
自家産の子牛には、良質な牧草を原料とし、粗飼料と濃厚飼料のバランスを考えたすずき牧場オーダーのTMR飼料を給与し、子牛の健康・発育・ストレス軽減に良いとされるアミノ酸の一種であるGABAを含んだ添加剤(スリープラス:南九州バイオ)も使用しています。また、腸内環境の安定のため、子牛から肥育牛まで毎日の乳酸菌投与や、ビタミン剤の経口投与によるビタミンA欠乏症への細やかな気配りなど、牛の健康に配慮しています。